死んだ振りを続ける僕は
擬死/DEZERT
DEZERTで人におすすめを聞かれたらおすすめはし辛いけど人に聴いてほしい曲、擬死。
擬死とは歌詞の中にあるように死んだフリのことだろうと思う。もう、わたしはタイトルの時点ですでに大好きすぎる。そもそもDEZERTが初めて気になった理由も、曲名からどんな曲なのか聴いてみたくなったから、だった。
歌い出しからとにかく鬱々としていて、それが終わりまでずっと続く。私はこういう不安と不穏がずっと続く、逆にある意味穏やかとも取れる暗さが大好きでたまらない。深夜にベッドで枕に顔を押しつけて聴くと安心感でそのまま死にそうにな気分になる。もう一生、元気なんか出したくないと思える。逆に言えば、そういう気持ちがそのまま音になったものがこの世に存在していてすごい。擬死は結構外でも聴いていて、嫌な事があった日の帰り道の移動中に聴くと、耳だけ家になる。
イントロの暗いギターの音、精神の溶ける音…もう泣いてもいいという気分になる。サビまではぐるぐるどんよりした音が続く。「栄辱で泣く必衰も 傍観者だろう」の部分、裏で「あーーー」「う〜〜」という唸り声みたいなコーラスが鳴ってて、この嫌な気分を本当にそのまま音にしたとしか言いようのない音がもう、好きで好きでしょうがない。ぐるぐる煮詰まった流れが、サビで一気に解放されて、音数が少なくなってシンプルになって…その展開も、脳がめちゃくちゃ気持ち良くなって大好きだ。
「消える事すら今はさほど怖くないから」、「もう終わりにしよう 多分それも悪くないから」、「今消える事が死ぬことよりも怖いから」、これは結局、死にたいのか死にたくないのかという話では結果は死にたくないになるんだと思うけど、そういうことじゃなくて、死についてぐるぐるとぼんやり考え続けている時間そのものなんだと私は思う。
DEZERTはもがいているバンド、というコメントとか記事を見たことが何度かあるけど、こういう部分がまさにそうだと思う。だけどDEZERTってそういうバンド、といまだに一言では言えないというか、私にとってはそういう気持ちでいてもいい時間であって、場所であって、その気持ちが音として存在してるということが、何よりの安心と愛しさで。
色んな人がちゃんとした感想を言うだろうから一人ぐらい個人的すぎる変な感想を言ってもいいかなという気持ちを込めてこの感想を書いています。